おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

流れに身を任せていたら外資系のIT企業で働いていました。そんな私が投資とか趣味について書き連ねる日記です。インデックス投資と米国株がメインです。

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eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天VTのデメリット

10月31日にeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)がリリースされます。これ一本で日本を含む世界中に分散投資ができるインデックスファンドです。

 

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一見すると素敵なファンドのように思えますが、同じように世界中の国に分散投資する「楽天・全世界株式(楽天VT)」を積み立てていた私には、eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)も楽天VTも面倒なファンドかな~といった感覚です。

 

eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)に何を期待するのか

eMAXIS Slimシリーズを始めとして様々な株式指数に連動するインデックスファンドが販売されています。

人気があるのは

「eMAXIS Slim先進国株式」や「ニッセイ外国株式」のように世界の先進国のみに投資するファンド

「楽天・全米株式(楽天VTI)」や「eMAXIS Slim米国株式」のようにアメリカのみに投資するファンドでしょうか。

これらのファンドよりも「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」を選ぶ理由は何かなと考えました。

 

 ①気軽に投資を始めたい

 「インデックス投資始めたいな。でも何を買うのか考えるのは面倒だよ。」

 ②世界経済全体の成長に期待したい

 「中国とかインドとかこれから発展するよね。世界中の国に投資して、その国の経済成長を享受したいんだよね。」

  ③リスクを分散させたい

 「特定の国・地域に投資が集中するのは危険じゃね?もっとリスクを分散させたいよ。」

 

こだわりが①だけであれば「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は正解だと思います。これを買えば勝手に世界中の国に投資できますからね。

問題なのは②や③を狙ったとき、果たして世界全体に「自動的に」分散投資させるのが効果的なのかということです。

最初は何となく投資を始めた①のような人でも、自分の資産の価格を追っかけていると、こういうことが気になり始めると思うんですよね。

 

国別構成比率から投資効果を考える

 eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTの投資効果を考える際に重要なのは国別の構成比率だと思います。

 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が採用する指数はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックスです。これは23ヵ国の先進国と24ヵ国の新興国の株式で構成されます。MSCI社のパンフレットでは各国の構成比率は以下のようになっています。

■ACWIの国別構成比率

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世界経済の中心であるアメリカが半分以上を占めていますね。アメリカの株価の影響を最も大きく受けることになります。

eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTの投資効果を考えるにはアメリカ以外の国の株価がアメリカの株価に対してどのように動くかを考える必要があります。

世界経済全体の成長に期待するのであれば、アメリカの株価を他国の上昇率が上回る時が来る必要があります。そうでなければ「eMAXIS Slim米国株式」や「楽天VTI」を買えばいいだけですからね。

また、リスク分散に期待するのであればアメリカの株価が下がっている時に他国の下落がアメリカより小さい必要があると思いました。

これが実現できるのか、過去の株価の推移を振り返ってみました。

全世界 vs アメリカ vs 先進国

 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)の採用指数であるACWIと連動するishares MSCI ACWI ETFと米国株のみに投資するVTI、先進国のみに投資する iShares MSCI Kokusai ETFの過去10年間の株価の推移を比較してみました。

■VTI 、MSCI Kokusai、ACWIの10年チャート

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最も成長しているグラフはVTIです。2番手に付けるのはMSCI Kokusai、僅差でACWIの順でした。ACWIは過去10年で見ると米国に完敗。先進国のみの指数であるMSCI Kokusaiと同じくらいですね。

 

次に1年単位で各指数の騰落率を調べてみました。

  2008 2009 2010 2011 2012 2013
VTI -39.2% 22.5% 13.3% -2.0% 10.4% 30.4%
ACWI -41.9% 23.0% 9.3% -8.9% 11.8% 19.3%
MSCI Kokusai -40.8% 23.0% 7.4% -5.2% 11.8% 22.9%

 

  2014 2015 2016 2017 2018
VTI 12.3% -1.5% 12.2% 18.1% 2.5%
ACWI 3.6% -10.6% 9.1% 22.0% -4.9%
MSCI Kokusai 4.6% -9.3% 9.1% 18.0% -1.3%

 

ACWIがVTIを上回ったのは2017年くらいです。他は大きく負けているか、勝っても大差ないですね。

 もう少し過去の成績を見るととまた違ってくるのですが、私はこれを見てACWIやVTを持つ意味に疑問を持ってしまいました。

この結果から前述した 

 ②世界経済全体の成長に期待したい

 ③リスクを分散させたい

という期待にeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)や楽天VTが答えられるのかを考えました。

世界経済の成長を享受できるのはいつなのか

2009年と2017年はACWIがVTIのパフォーマンスを上回っていますが、これは新興国の調子がよかったからです。新興国のみに投資するETFであるVWOのチャートを見ると一目瞭然です。

■2017年のVTI、ACWI、VWOのチャート

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2017年のVTI、ACWI、VWOのチャートです。一番上のグラフがVWO、次がACWI、一番下がVTIです。新興国の株価上昇がACWIのパフォーマンスを引き上げています。

このことからeMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が他のインデックスファンドより高パフォーマンスを出すには新興国の成長が欠かせません。

ですが、悲しいことに新興国の株価の上昇は長く続いてくれないんです。

■VWOの長期チャート

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VWOの2005年からのチャートです。一定範囲をうろちょろしてますね。これがもう少し右肩上がりならよかったんですけど。こうなると新興国が継続的にeMAXIS Slim全世界株式や楽天VTのパフォーマンスを押し上げるのは難しそうです。上のチャートの前半に見えるように爆上げするときもありますが、その逆もありそうですね。

世界経済が好調な時はMSCI KokusaiもVTIも上昇しますから、どれを買っても利益が出ることには変わりません。なら、わざわざリスクを負ってまでeMAXIS Slim全世界株式を選ぶ必要もないのではと言うのが感想です。

 

「いや。それでもいつか来る新興国の成長に期待するべきだ」

と言うケースもあるでしょう。

確かに発展尽くした先進国よりは上昇余地が多く残されているのでしょうし、先進国を超えた成長を見せつける時代が来るのでしょう。ただ、その発展がその国の株価に反映されるのはいつになるのかが分からないです。

新興国の経済発展が新興国に上場されている企業の株価上昇に繋がるのがいつなのかってところに確信が持てないです。

私はそのいつ来るか分からない未来に期待するより、現在進行形で発展している米国・先進国の株価上昇の恩恵を身に浴びたい派です。ずっと資産が低迷していると心折れちゃいそうですからね。

ただ、今後2017年のように新興国の株が上がる時もいつか来ると思うので、全く新興国の資産を保有しないのも勿体ないと思います。上昇に気づくの遅れちゃいますしね。なので、私も新興国のインデックスファンドは積み立てています。ただ、VTやACWIより少なめの比率でです。

国際分散投資はリスク分散のためではない

世界中のお金や商品が世界各国を流れる今、各国の株価の連動性は非常に高くなっています。アメリカの株価が下がれば世界中の株価が影響を受けますし、逆にヨーロッパや新興国の株価下落がアメリカの株価を下げるケースも多いですよね。先日の米国の長期金利上昇でも世界同時株安となりました。

ではeMAXIS Slim全世界株式を構成するアメリカ以外の国の株価がアメリカの株価下落を和らげるクッションに、リスクヘッジになるのでしょうか?

■2018年10月の株安時のチャート

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これは先日の世界同時株安時のVTI,ACWI,MSCI Kokusaiのチャートです。濃い青がVTIですが、ACWIも同じくらい下落しています。う~ん、全然クッションになってくれないです。

■リーマンショック時のチャート

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これはリーマンショック時のチャートです。むしろACWIの方が下落率がでかい気がします。。アメリカの株価下落は世界中に波及してしまうので、他の国のインデックスファンドを持っててもディフェンスしてくれないかも。

 

これらは米国発の株価下落ですが、他国発の株価下落時はどうなんでしょうか。

■2015年チャイナショック

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■2016年Brexit

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2015年チャイナショックと2016年のイギリスEU離脱の国民投票時のチャートです。世界中で株価が下落しましたが、濃い青のグラフであるVTIは他のACWIやMSCI Kokusaiに比べて回復が早いんですよ。

むしろ、今は米国以外の株を持っていた方が不安定になる気がするな~。

これってやっぱり国際分散投資はリスクヘッジのためにするものではなく、いつか来る世界経済全体の成長を取り込むことに主眼を置くべきってことでしょうか。

 eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTが取り込むリスク

私、eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTのような世界中に投資するファンドは受ける利益より、勝手に取り込まれるリスクの方が大きいんじゃないかと思うんですよね。先に述べたようにeMAXIS Slim全世界株式の半分はアメリカ以外の国です。どのような国があるか見てみましょう。

 

 ■ACWIの構成国

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 MSCI社のHPより引用(https://www.msci.com/acwi)

右半分が新興国です。

私はインドやインドネシア、マレーシア等の東南アジアは何となく魅力を感じています。ですが、米中貿易摩擦でトランプに喧嘩吹っかけられる中国、しょっちゅう経済危機を招くギリシャ、トルコに魅力を感じないです。特に中国はACWIの4%を占めます。中国の株価が及ぼす影響は結構大きくなります。

左半分が先進国です。ACWIの構成比率2位の日本は高齢化社会まっしぐらですし、3位のイギリスはEU離脱でもめてます。日本の株価はこれから上がるかな?

 

何もアメリカはリスクが低くて他の国のリスクが相対的に高いとは思っていないです。どの国にもリスクは等しくあると思っています。ですが、eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTはそのリスクが取り込まれる機会が多いんじゃないかなと感じています。

VTIの場合、アメリカの株価下落の影響は直接的に受けますが、他国の株価下落は間接的にしか受けません。所詮、他国の経済が悪いだけということで、株価はすぐに復活しがちです。

一方でVTやeMAXIS Slim全世界株式は、世界中のどこかの国で発生する経済危機や政治危機、それらが与える影響が自分の資産の一部を直接攻撃してくることになります。構成比率は僅かなので大ダメージにはなりませんが、それでも米国や先進国のみに投資する場合と比べて大きくなる気がしちゃいます。

そんなわけで、私は「eMAXIS Slim全世界株式」や「楽天VT」よりも、「楽天VTI」や「eMAXIS Slim先進国株式」を主軸に買っておいた方が安心できます。 

まとめ~世界中に「分散投資されてしまう」ことをメリットと思えるか

自分で資産の配分を考えるのが手間な場合は「eMAXIS Slim全世界株式」も「楽天VT」も良いファンドだと思います。eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)は低コストですしね。

ただ、投資効率やリスクヘッジを常に考えていたい、自分で資産の配分を調整したい人にとっては不便なファンドだと思います。その時の株式の時価総額によって勝手に継続的な成長が見込めるかもわからない国に分散投資されてしまいますからね。

私にとっては

 「世界中に分散投資できる」

ではなく

 「自動的に魅力のない国にも分散投資されてしまう」

と言う側面が強い気がしています。

この「自動的に」の部分が何か嫌なんですよね。

私は米国以外の先進国も新興国のインデックスファンドも積み立てていますが、米国と米国以外の先進国、新興国の構成比率を自分で決めたいんですよ。

「米国の比率は70%にしたい」

「今は新興国の比率は5%上限にしておきたい」

とかそういうルールを設けてます。新興国もETFでインドやインドネシアの比率を多めにした方がいいかなとか考えるのも好きです。

eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTだとこの辺りの調整がめんどくさくなるので買わないんです。

近い将来、米国株が不調になって他国の株価が急騰する可能性も多分にありますから、国際分散投資は必要だと思っています。そういう時に自分でリバランスするのが面倒な場合には「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は良い商品なんでしょうね。このファンドのメリットは「リバランスの手間を省く」と言う点にあると思いますから。

逆に自分で考え抜いてポートフォリオを作りたい場合は不向きなファンドですよね。

自分が実行したい投資スタイルに合うか合わないかってことが大切だと思います。

 

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