おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

インデックス投資と米国株の記録。流れに身を任せてお金を増やす。

eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)や楽天VTのデメリット

三菱UFJ国際投信が販売する『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)

これ一本で日本を含む世界中に分散投資ができるインデックスファンドです。

 「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2018」でも第3位を取るなど、人気を博していますね。

 

同タイプの『楽天・全世界株式(楽天VT)』より低コストとなることが期待されることから、【国際分散投資の決定版】のようなファンドに見えます。

 

ですが、このような世界全体に分散するバランスファンドは投資効率の面で、逆にアンバランスではないでしょうか。

 

これは、私が楽天VTを積み立てていた時に感じたことです。

投資効率の観点から『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』や『楽天VT』が抱えるデメリットを考えてみました。

 

『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』に何を期待する?

低コストなインデックスファンドが数多く販売されるようになった今、人気があるのは次の2つのタイプです。

 

      ◆アメリカのみに投資するファンド

  例)楽天・全米株式インデックス(楽天VTI)、eMAXIS Slim米国株式

 

  ◆アメリカを中心とした先進国のみに投資するファンド

  例)eMAXIS Slim先進国株式、ニッセイ外国株式

 

では、これらのファンドではなく「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」を選ぶ理由は何でしょうか。

 

 ①とりあえずインデックス投資を始めたい

 「インデックス投資始めたいな。でも何を買うのか考えるのは面倒だよ。」

 

 ②世界経済全体の成長に期待したい

 「中国やインドとかこれから発展するでしょう。世界中の国に投資しておいた方が儲かりそう!」

 

 ③リスクを分散させたい

 「特定の国に集中投資すると何かあった時が不安。もっとリスクを分散させたい。」

 

個人的な考えですが、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を買うのに適しているのは、①のパターンだけだと思います。

「どの国、どの銘柄に投資したらよいか?」等、投資方針の検討に時間や労力をかけたくない場合ですね。

こ場合、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の購入は最適解の一つでしょう。

これを買えば、株式時価総額の高い順に多く投資するよう、勝手にリバランスしてくれますから。楽ちんです。

 

問題となるなのは②のように利益をできるだけ大きくしたい場合、③のようにリスク分散を考えたい場合です。

この2点に対して、 全世界分散型のインデックスファンドは最適とは言えないと思います。

 

『eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)』で効率よく利益を得られる?

 eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTの購入検討時に注目すべきは、その投資対象国の内訳です。 

 eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)が採用するベンチマークは「MSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(ACWI)」。

これは23ヵ国の先進国と24ヵ国の新興国の株式で構成されます。

 

現在の内訳を見てみましょう。

ACWIをベンチマークとする「iShares MSCI ACWI ETF」のデータから引用します。

 

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世界経済の中心であるアメリカが55%を占めているので、アメリカの株価の影響を最も大きく受けます。

 

と言うことは、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」に投資する時、次の点を考える必要があります。

 

◆利益を大きくしたい場合

アメリカ以外の国の株価がアメリカを上回る必要があります。

そうでなければ、「eMAXIS Slim米国株式」や「楽天VTI」を買っておけばいい、ということになります。

 

◆リスクを分散させたい場合

 アメリカの株価が下がっている時、他の国の下落幅は小さくなる必要があります。

他の国の株価がアメリカと同じように下落するなら、リスク分散の効果は無いでしょう。

 

では、過去にこの2点を実現できたのかを見ていきます。

 

まずは「利益を大きくしたい場合」です。

アメリカの株価より、全世界の株価の方が上昇する確率は高いのでしょうか。

 

全世界 vs アメリカ パフォーマンスはどちらが良い? 

ACWIと連動する「ishares MSCI ACWI ETF」と米国のS&P500と連動する「ishares Core S&P500 ETF(IVV)」の株価を比較しました。

 

■過去10年間のACWIとIVVの比較チャート

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青色のチャートがACWI 赤色のチャートがIVVです。 

 

10年間でS&P500は2倍上昇しています。

それに対し、ACWIは40%程度の上昇です。

 

そして、グラフ左端の下落はリーマンショックです。リーマンショック時の下げ幅は大して変わりません。

 

これを見ると、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」を持つことに疑問を持ってしまいます。

世界経済の成長を享受できるのはいつ?

見る期間を変えれば、ACWIがS&P500のパフォーマンスを上回る時もあります。

それは新興国のパフォーマンスが良かった時期です。

 

一つの例として、2017年のチャートを見てみます。

ACWI、IVV(S&P500)、そして新興国のみに投資するETFであるVWOのチャートを比べると分かりやすいです。

 

■2017年のACWI、IVV、VWOのチャート

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一番上のグラフがVWOです。次の赤色がACWI。青色がIVVです。


2017年は新興国のパフォーマンスが非常によかったです。

なので、新興国株式が含まれるACWIのパフォーマンスがS&P500を上回りました。

 

新興国株式は「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の約10%を占めます。 

eMAXIS Slim全世界株式が他のインデックスファンドより高パフォーマンスを出すには、新興国株の上昇が欠かせません

 

これが最大の懸念事項です。

過去、新興国の株価は長期にわたって上昇を継続したことがありません。

 

■VWOの長期チャート

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新興国に投資するVWOの2005年からのチャートです。

一定レンジでもみ合いを続けています。

 

新興国の株価は上昇局面でのパフォーマンスはアメリカを上回る時があります。

だけど、継続性がありません。

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」のパフォーマンスを一時的に押し上げることもあるけれど、停滞させることも頻繁にあるということです。

 

そもそも、世界経済が好調な時はアメリカの株価も上昇しますよね。

アメリカの株価は過去を振り返ると、右肩上がりに上昇を続けています。

それならば、

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を買って、わざわざ新興国の不安定さを取り込む必要はないのでは?

と思います。

 

これに対して

「違うでしょ。新興国の方が経済成長余地が大きいのだから、そこに期待するべきでしょう。」

と言う意見もあると思います。

 

確かに、中国やインドは将来的にGDPでアメリカを追い抜くと予測されています。

人口が大きいですからね。

いつか、先進国を超えた成長を見せつける時が来るかもしれません。

 

ただ、その経済発展は本当にその国の株価に反映されるのでしょうか?

そして、それはいつなのでしょうか?

 

新興国の中には今後も人口が増加し続ける国があるので、経済規模は当然大きくなります。

でも、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」の価格が上がるのは新興国のGDPが大きくなったり、経済が豊かになった時ではないですよね。

 

新興国の企業の株価がアメリカ企業の株価の上昇率を上回る時です。

 

その時代が来るのはいつなのか、誰にも分からないのではないでしょうか。

GDPや経済成長がすぐに株価に連動すればいいですけど、今もそんな事にはなっていないですしね。 

 

私はいつ来るか分からない未来に、過度な期待を寄せたくないです。

当面は現在進行形で発展しているアメリカの株価上昇の恩恵を受けていたいです。

ずっと資産価値が低迷していると、心が折れちゃいそうです。

 

当然、将来的には新興国の株価が上がる時も来ると思うので、ポートフォリオに新興国を組み込まないのは勿体ないと思っています。

だから、私も新興国のインデックスファンドは積み立てていますが、VTやACWIよりは少なめの比率になるように調整しています。

 

 

もう一つの「リスクを分散させたい場合」についても考えてみました。

国際分散投資はリスク分散にならない

ありとあらゆる製品、サービスが世界各国を流れる今、各国の株価の連動性は非常に高くなっています。

 

アメリカの株価が下がれば、世界中の株価が影響を受けます。

逆にヨーロッパや新興国の株価下落がアメリカの株価を下げるケースも多いですよね。

 

ではアメリカ以外の国がアメリカの株価下落を和らげるクッションに、リスクヘッジになるのでしょうか? 

 

■リーマンショック時のチャート

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これはリーマンショック時のチャートです。赤がIVV(S&P500)青がACWIです。

むしろACWIの方が下落率がでかい気がします。。

 

■2015年チャイナショック時のチャート

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2015年のチャイナショック時のチャートです。

ACWIもS&P500も同じように下げています。S&P500の方が下げ幅は小さいですね。

 

切り取る期間によっては、ACWIの方がダメージが小さい時期もあります。

2018年10~12月の株安時はアメリカの方が下落幅は大きかったでしょう。

ただ、そこに特筆すべき差があるわけではないです。ACWIとS&P500のどちらを保有していても、同じ程度のダメージを受けています。

 

アメリカの株価下落は世界中に波及してしまいます。

このような時に他国の株式に投資するインデックスファンドが資産を防衛してくれる可能性は低いです。

 

もはや、株式を国際分散投資してもリスク分散にはならないのだと思います。

リスクを分散させたいなら、資産の何割かを現金、債券、不動産等の別の値動きをするものに投資するべきでしょう。

 

ということは、国際分散投資の目的はリスク分散ではなく、世界経済全体の成長を取り込むことになります。

さて、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」 は世界経済の成長をしっかりと取り込んでくれるでしょうか?

 eMAXIS Slim全世界株式や楽天VTが取り込むリスク

私、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」のような世界中に投資するファンドは、成長よりも勝手に取り込まれるリスクの方が大きいと思うんですよね。

 

貿易摩擦や知的財産の件でアメリカに喧嘩吹っかけられる中国はACWIの3~4%を占めます。

 

ACWIの構成比率2位の日本は高齢化社会まっしぐら。IMFや世界銀行が発表する経済成長率の予測でも低い値が続いています。

 

そして、ヨーロッパ。ブレグジットで揺れているように、EUが今後もうまく回るのか不安です。

 

もちろん未来はどうなるか分かりません。

アメリカ企業の株価を他国の企業が追い抜くかもしれません。

でも、追い抜く時が来ないかもしれません。未来はどうなるか分かりませんから。

 

未来が分からないなら、株価が右肩上がりで上昇を続ける実績を持つアメリカを投資のメインにしておいた方が、今は無難だと思います。

 

新興国を始めとした他国の株式は未来の成長を期待し、少な目の比率で持っていたいですね。

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」のアメリカの比率は55%しかありません。私にとって、これは少なすぎます。

そして、アメリカ以外の国の比率は45%。これは多すぎますね。

 

なので、「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」や「楽天VT」は私の投資のメインにはなり得ませんでした。

 

まとめ~世界中に「分散投資されてしまう」ことをメリットと思えるか

「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」も「楽天VT」もパフォーマンス効率を考えたい人にとっては不便なファンドだと思います。

 

その時の株式の時価総額によって、勝手に色々な国に分散投資されてしまいますから。

 

私にとっては

 「世界中に分散投資できる」

ではなく

 「魅力のない国に勝手に分散投資されてしまう」

と言うマイナスの側面が強いです。

 

「勝手に」の部分が曲者ですね。

 

先に述べた通り、世界経済の中心であるアメリカが50%程度に抑えられてしまうので、なかなか利益が出ない結果になりかねません。

 

近い将来、米国株が不調になって他国のパフォーマンスがアメリカを追い越す可能性もあります。

だから国際分散投資は必要だとは思うのですが、当面はアメリカの比率を高くしておかないと、利益を得られる機会を逃してしまう気がします。

 

私は楽天VTIと先進国、新興国に投資するインデックスファンドを個別に買って、アメリカの比率が70~80%になるようにしていきたいです。

以前は楽天VTを積み立てていたのですが、この辺りの調整がめんどくさくなるのでやめました。

 

最初に書いた通り、

「こんなこと考えるの面倒だよ」

と、自分でリバランスしたくない場合には「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」は良い商品です。

 

このファンドのメリットは「リバランスの手間を省く」と言う点に集約されると思いますから。

 

もし、私が「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を買うのであれば、サブ扱いにしたいです。

投資のメインは「楽天VTI」や「eMAXIS Slim米国株式」にしておき、小さめの比率で「eMAXIS Slim全世界株式(オール・カントリー)」を持っておきます。

そうすれば、アメリカの株価のパフォーマンスを多く取り込めますし、他の国の株価上昇も取り込めます。

 

とまあ、こんな感じで自分でポートフォリオを作りたい人には不向きなファンドだと思いました。

自分が実行したい投資スタイルに合うか合わないかってことが大切だと思います。

 

他の記事の紹介です。 

 

私は複数の投資信託で全世界に分散投資しています。その理由について書いた記事です。

 

アメリカと全世界への投資はどちらがパフォーマンスが良いのか。VTとVTIの最新のパフォーマンスをこちらの記事で掲載しています。

 

私が楽天VTを解約した経緯を書いた記事です。

 

 

他にも米国、先進国、新興国のインデックスファンドのパフォーマンスをまとめています。

 

S&P500,ダウ,VTI 米国株インデックスファンドの最新情報を比較 - おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

 

先進国株式 おすすめインデックスファンドを最新データで比較 - おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

 

新興国株式に投資するインデックスファンドのコストや成績を比較 - おんつじの資産育成記~投資信託と米国株で楽にお金を育てる

 

 

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